委任者が,将来,認知症になった場合に備えて,後見人予定の者との間で結ぶ任意後見契約の公正証書のことです。将来,認知症などの精神上の障害により,判断能力が不十分となり,自分の生活,療養看護,不動産・預貯金の管理などについて適切な管理や処理をすることができなくなるかもしれません。そのような場合に備えて,判断能力のある今のうちに,認知症になったときに,代理人として銀行に行ったり,病院との入院契約をしてくれたりしてくれる人を,任意後見人として選び,その人との間であらかじめどのようなことを代理してもらうかを定めた公証人作成の契約書のことです。なお,この契約書は,公正証書によって作成しなければならないとされています。
委任者(任意後見をお願いする人)が受任者(後見人となる人)に対して,認知症になっていないけれども,一定の範囲内の行為を代理して行う権限を付与するために,両当事者の間で締結する公証人作成の契約書です。このような契約は,自分のことが自分できる間は他人に頼む必要はないのですが,人間は,徐々に体の機能が衰えていき,やがて一人で銀行等に行くことができなくなり,そのような場合は,自分に代わって銀行等に行ってもらう人が必要になります。そのような状態になった場合に備え,代理行為をしてもらうことのできる人を選び,その人に代理権限を付与することを内容とする委任契約を締結し,それを公正証書にしておくものです。ただし,この契約は任意後見契約と一緒に契約するもので,委任契約のみを公正証書として作成することはしない扱いです。
ご本人:印鑑登録証明書,戸籍謄本,住民票(全て3か月以内)
任意後見人となる人:印鑑登録証明書,住民票(全て3か月以内)
※ 印鑑登録証明書に換えて運転免許証,個人番号カード(マイナンバーカード),住民基本台帳カード(顔写真付き)でも可
※ ご本人が入院中などで公証役場に来ることができない場合は,公証人が病院・自宅へ出張することが可能です。その場合,「診断書」をご用意いただくことがありますので,電話にてご相談ください。
「診断書」には,『判断能力がある』旨の記載が必要です。
※ 判断能力が既に不十分な方は,「法定後見制度」をご利用いただくことになります。お近くの家庭裁判所へご相談ください。 |
【1】 1回目:ご相談
必要書類を持参し,公証役場に出向き,作成したい内容を公証人にご相談いただきます。
ご相談いただいた内容及び提出していただいた資料に基づき,証書の原案を作成します。原案の作成には,内容,役場の混み具合にもよりますが,2~3日から1週間程度かかります。
【2】 2回目:公正証書の作成日
ご本人(任意後見をお願いする人)と任意後見人となる人の2人で実印(本人確認資料が印鑑登録証名所以外の場合は,認印)を持参の上,公証役場に出向き,公証人の作成した公正証書を閲覧し,内容を確認します。その内容でよければ,署名押印します。